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上井草界隈のサクラ

和 田 博 幸

清水家のオオカンザクラ仕事がら、サクラが植えられていると気付かぬうちにそのサクラを観察してしまうことがあります。現在住んでいる杉並区上井草には、結婚と同時に引っ越してきましたが、私のサクラ観察の性分からか、毎年近所のサクラを観察し続けています。もう観察歴は20年にもなります。

家を中心にして半径約1kmの範囲でサクラが約30種類も発見できました。なぜこんなに種類が多いのか?は分かりませんが、いろいろな種類があるものだから、毎年春が近くなると気持ちがそわそわし始めます。

咲き始める順番で紹介すると、2月中下旬に三谷小学校のカンザクラが咲き始めると西武新宿線沿いの児童公園にあるカワヅザクラ、観泉寺のカンヒザクラ、観泉寺の隣の清水家のオオカンザクラと続いて咲き出します。 そうするうちに植木畑のオカメ、民家の庭先にあるカラミザクラ、ケイオウザクラが咲いてききます。これらのサクラは寒いうちから咲き出すので結構長く楽しめます。 植木畑のオカメお彼岸の頃になると観泉寺のシダレザクラ、墓地の中にあるリョクガク、井草森公園のヨウコウ、千川通りのコヒガン、民家のジュウガツザクラがいよいよサクラの春の到来を告げるかのごとく咲きます。そしてソメイヨシノ開花を迎えます。 ソメイヨシノは、樹齢4・50年の大木が民家の庭先のあちらこちらで見かけます。ソメイヨシノとほぼ同時に児童公園のタカサゴ、民家のセンダイシダレ、次に千川通りのベニユタカ、オオシマザクラが咲きます。 千川通りはユニークで、街路樹にコヒガン、ベニユタカ、オオシマザクラ、ソメイヨシノが植えられています。 観泉寺の本堂の前にあるヤエベニシダレとヤマザクラも4月10日頃には開き始めます。10日を過ぎる頃になるといよいよサトザクラ類の花が楽しめます。

井草中学校には葉桜となったソメイヨシノに混じってイチヨウ、ウコン、カンザン、フゲンゾウが咲き始めます。また、民家の庭先ではショウゲツやエドと思える花も見られます。 鉢植えになっているムラサキザクラ?もありました。我が家の近くの児童公園にあるカスミザクラ系雑種のサクラも咲きだします。 このサクラが咲き終わる頃には、まわりの樹木もすっかり新緑となり、陽光に葉がまぶしく輝き始め、サクラのシーズンが終わります。

いろいろなサクラがありますが、バス通り覆い被さっていたソメイヨシノは、集合住宅を建設するために切られてしまいましたし、駐車場のヤマザクラの大木は、一昨年に枝をばっさりと切られてしまい、切り口からの腐朽が進み、今は往時の面影もありません。 民家の庭先にあったヤマザクラは根元からばっさり切られてしまったものもあります。この時はかなりショックでした。シキザクラは植木畑で立ち枯れしてしまい、同じ植木畑に合ったセンダイヤは、売り先が見つかったのか、掘り取られてしまいました。上井草界隈のサクラマップも都市化と同時に徐々に変わりつつあるようです。

上井草界隈で新たなサクラの発見と枯れたり切られたりすることなく、これからもできるだけ長く、サクラが楽しめることを祈っています。